身も心も解放した一夜 – SOUND CAMPUSという舞台
2025年9月13日(土)。僕は人生で初めて、音楽の舞台に立った。その名は「SOUND CAMPUS」。
「日々の生活でこぼれ落ちそうな想いや願いを、音楽という形で表現することで、誰かの物語を動かしたい」
——そんな思いから企画されたこのイベントは、合同会社モデムとスターベルズが主催し、地域の学生とプロが共に奏でる”今”の音楽を通して、東広島を「ここに住んでいてよい街」「輝く街」にしたいと願うものだった。

始まりは一言から
「おかちん、出てみない?」
黒河さんという一人の女性の一言が、全ての始まりだった。
時は遡ること2ヶ月ちょっと前。
この3月から東広島に住み始め、30歳になった僕は様々な人生の課題に直面していた。
正しさだけでは理解できない、1+1=2と簡単に解くことができないような複雑な問題たちに。

仮面を被って生きてきた日々
普段の「おかちん」というキャラクターは、いわば仮の姿。
真面目で、まさかこんな舞台には立たないだろうと思われるような人生を歩んできたつもりだった。
家でも一日のほとんどノイズキャンセリングのイヤホンをつけるほど耳が音に敏感で、人が触れてほしくないところに深入りしてしまうのが基本的な性格。
だから
「なんでわかるん!?」
と言われたり、
「あいつと関わると、なんかゾワっとする」
と言われるのが嫌で、ロジカルに、まるで機械のように生きてきた。
それは自分自身に対してもそうで、いつの間にかいつ休んでいいのか分からず、年に1〜2回倒れるか、ずっと頭が痛い。頭痛薬をタブレットのように飲んで、薬物過多と医師に診断されて、ようやく普通にしようと思うくらい、モヤモヤしたものを抱えていた。

運命の出会い – ギターと坂井結愛さん。
「瞳の奥をのぞかせて」と言ったら、逆にのぞかれたような出来事があり、僕は自分のことに向き合うことに決めた。
そして7月1日、たまたま散歩中に見つけたハママツ楽器というお店で、一本のギターに一目惚れした。
ポケモンでいう「君に決めた!」状態だった。

一週間後、冒頭の
「おかちん、出てみない?」
につながる。
最初は「いやいやいや」と拒否した。
2ヶ月しか練習期間がないのに、ギターを触ったことがない人間が演奏するなんて。
しかも、学生やプロの皆様が主役なのに、30歳独身男性が出る幕じゃないと。
でも、表現したい気持ちに変わった。そのきっかけをくれたのは坂井結愛さん。
高校生アーティストの彼女は、色彩の重なりや筆の流れによって、言葉では表しきれない想いや記憶を映し出すアーティストだった。

初対面では、お互い緊張していて、終始笑いながらポジティブなこともネガティブな出来事も嬉々として話していた。絵を描いてもらった2回目の出会いで、彼女は僕に問いかけた。

「今の自分の優先順位ってなんですか?」

「枷がなくなった状態の自分だったとして、どんな自分でいたいか?」
その答えの一つが

「歌ったり弾いたりする表現者でありたい」
だった。
そして彼女は言った。

「もうそろそろ自分を絞っているもの(鎖)を外してもいいじゃないんですか?」
30歳の男、家で号泣。
それから、せっかくいろんな経験をさせてもらったんだし、今できる精一杯を一曲に込めて披露しよう!と思って、出演することを決めた。

練習からリハーサルまで
7、8月と様々な曲を練習し、9月頭に株式会社スターベルズのメンバーと黒河さんと一緒にカラオケで選曲の審査会。2〜3時間ずっと歌って、どの曲にするか決めた。
本番前日、L⇔Rの黒沢秀樹さんが現地入り。さすがプロのミュージシャン。コードを見て2〜3回の練習でさらさらっと。僕は2ヶ月かけて、やっとコード進行を見ながらダウンストロークでポロポロと弾くのが精一杯だった。

すごいよね・・・
本番当日 – 初ステージの緊張と感動
ボイトレの先生に教えてもらった練習法で、ずっと唸っている僕。
この2ヶ月、トイレに行った時、飲み物を飲んでいる時、通勤中。
今思うと、かなり怪しい不審者だった。
会場に近づくにつれ、緊張で言葉数が多くなる。会場入りしても、

「今から本当にするんだよね?」
とふわふわしていた。
Precious Storyの近藤明日香さんにメイクもしてもらった。
初ステージで一丁前にメイクしてもらっているなんて。
彼女は本当に聞き上手で、僕がガチガチにならずに最高のパフォーマンスができたのは、近藤さんのおかげかもしれない。

ステージに立った瞬間
僕の出番はラスト。トリだった。
ステージに立った瞬間、一瞬夢の中かと思った。
照明が明るくて、閃光弾を受けたみたい。まるでラピュタのムスカ大佐のように「目が…」となるところだった。
場面転換の合間の一曲程度だと思っていたら、トリをつとめ、かつL⇔Rの黒沢秀樹さんとコラボセッション。
人生って何が起こるか分からない。


アーティストっぽいよね。笑
音楽の世界への没入
1曲目はポルノグラフィティの「ROLL」。
何となく1番は楽譜を見て、手元を見て、お客様を見て歌っていたが、2番から徐々に初めて襲う感覚があった。
僕の頭の中に映像が出てくるタイプで、歌いながらこの世と妄想(フィクション)の世界が混ざる感覚。
感情が先走って、映像を見ると水の中でボコボコしながら何か言いたくて、言葉にならない。
歌詞を忘れるのではなく、この映像では言葉が違うような感覚が襲った。
L⇔Rの黒沢秀樹さんが本当にすごくて、僕がどういう状態で、どういう感情で表現しようとするのか、瞬時に読み取ってギターの音を変えてくれる。
落ちサビで叫んで、ラストで本当は君を「辿る」なんだけど、映像の中でぬくもりや呼吸を感じて、君の苦しみや悲しみに触れてしまったら、「映像の中の君」を守りたくなって。守って、抱いてしまった...

(てへっ。笑)
ギターの最後の一音が終わった瞬間にステージに戻ってきて、全身ブワーっと。

「緊張した〜!」
2曲目「KNOCKIN’ ON YOUR DOOR」
特に「KNOCKIN’ ON YOUR DOOR」は1995年、僕が生まれた年にリリースされ、ある意味僕と一緒に育ってきたといっても過言ではない。30年ですよ、30年。
その年月の中で、秀樹さんが歩んでこられた出来事やエピソードをWeb記事や動画で拝見するたびに、僕自身の気持ちと重なる部分が多くあった。
同時に、とても大きなプレッシャーも感じた。ファンの皆さんとともに大切に育まれてきた曲。
そして、誰もが知っているL⇔Rの代表曲と言っても過言ではない曲を歌わせていただけるなんて。
歌詞の中で「僕」という存在は、「彼女」や「妻」といった言葉ではなく、ただ「君」と呼ぶ相手にいろんなことをする。できることを提案したり、できないことのもどかしさを吐露したり。
あれもこれも伝えたいのに、「今言える言葉は」と続き、そこにあるのは「I Love You(君を愛している)」「I Want You(君がほしい)」というまさに愛。
もし「僕」という存在が傷ついたとしても、「君」が幸せであればそれでいい、そんな想いを抱きながら歌わせていただいた。
歌いながらサビでハモるのは、まさに「チョー気持ちいい」。
オリンピックで金メダリストのコメントが「チョー気持ちいい」になるのが、ちょっとだけわかる気がした。
それ以外は、(夕日が)暮れかけていく街並みのような世界で、お客様の手拍子を感じながら、君をずっと探しては呼びかけていた。

アンコール – 3曲目「ルーズ」
無事ステージも終了し、アフターパーティー会場で、見たことがある人ばかり!皆様が「演奏良かった!」と言ってくれるたびに、もう全力で抱きしめたい気分だった。



他にもたくさんの方に見て、聞いていただきました!
ありがとうございます!
そしてここからがアドリブ。
県外から急いで東広島に戻ってきて会場に来てくれた結愛ちゃんが「生で聴きた〜い!」と。
急遽最後に挨拶をすることになり、絵の時と一緒で、また背中を押してもらった。

最後は、ポルノグラフィティの「ルーズ」。
世界観はまさに夜、思いを伝えた後に、多分「じゃあね」って、お互い別れることを決め、車のドアを閉めた時に、「君」への想いも断ち切ったつもりなのに、その後車で家に帰るまでの時間、いろんな想いが巡る。
「ルーズな仕掛けでできている世界(ここ)」や「永遠という言葉に似合う言葉って何?」を考えながら、過去の出来事がまるで走馬灯のように思い出されていって、愛について、恋愛ソングで言われるようなキラキラした感じで、伝えるのが絶対の正解じゃなくて、秘めたままいる方が良かったのかなみたいな。
僕はこの「ルーズ」という曲のBメロが好きだった:
「形あるものは『いつか』『なぜか』脆く壊れてしまうという そんなルーズな仕掛けで世界(ここ)はできてる」
「愛は誰かに見せたり まして誇るようなものではなくて どんな形 どんな色 そっと秘めたまま」

テーマ「解放」の実現
今回の僕のテーマは「解放」だった。
「日々の生活でこぼれ落ちそうな想いや願いを、音楽という形で表現することで、誰かの物語を動かしたい」というイベント全体のコンセプトから導き出したものだ。

シークレットゲストが勝手に頭の中で「解放」を名付けて、ROLL→KNOCKIN’ ON YOUR DOOR→ルーズと、「君」という人間に対して、僕ができることを思い巡らせ、今言える言葉を伝え、君が幸せであることを願って想いを秘める。
そんなストーリー(世界観)を描いていたのはここだけの話。笑
初パフォーマンスで学んだことは、音楽の世界に入り込みすぎてしまうと、戻って来れなくなる感覚があるということ。もちろん、世界観に入り込むのは大事だが、入り込みすぎてしまうと、プールの中で溺れている人間と変わらない。いいバランスを今後やっていくなら見つけていきたい。
普段は表現できない想い
本当に、黒沢秀樹さんをはじめ、黒河さん、近藤さん、結愛ちゃん、スターベルズの井上さんや学生の皆様など、多くの人に、初パフォーマンスの岡野耕兵という人間を支えてもらって、30年間で見て感じてきた想いを音楽という形で表現、解放できたと思う。


本当にありがとうございました!!!!
多分普段の講座や授業、お仕事では絶対出せない部分。
これは後ろめたいという意味ではなく、基本僕の頭は映像の世界なのだ。
小説家のようにたくさんの言葉を知っていれば、絵が上手なアーティストであれば表現できるのかもしれないが、どちらも持っていない僕にとって、たぶん普段、経験談として話しているエピソードは、目の前で見て経験した想いの半分も伝わっていない。
本当に怖かったり、悲しかったり、嬉しかったり。
そんな想いを、あの時は大変でねって自分で話すのは、やっぱり無意識に制限してしまう。
感情の解放について
普段は世の中がコスパ・タイパ、KPI、世の中の常識的な観点で物事を考えがち。僕はその逆。

こんな泥臭い・鈍臭い人間はいないと思います。。。笑
僕がいつもニコニコしているからなのか、少しでもネガティブな感情(少しイライラしていたり、辛かったり)が出そうになると、

「岡野耕兵はそんな人間ではない」
というメッセージが出る。
僕という人間に、こういう人間でいてほしい、それを演じられる人間だから、そのまま演じておいて
——それが本音だと思う。
でも、同時に僕は感じる。自分はそのネガティブな感情も含めて、例えばため息だったり、落ち込んだ顔も、人がいないところで僕がこっそり見えないところでやろうとすると、それだけは否定される。
沸騰したお湯に手を突っ込んで我慢しろと言われているようなもので、笑顔でいられたらすごいでしょう。物を壊したりするわけではないから、せめて「熱かった〜」と言うのがダメなら一人にして言わせてほしい。
多様性を認めてほしいと言っている人が、自分以外の多様性は認めないような。だから僕は言っている。

別に君の選択ならどんな形であれいいと思うよ、だから選んでって。

でも、どんな相手でさえ、敬意を払うって大事じゃない。
だから、自分が敬意を払えない行動が出そうになるくらいなら、隠れて、勝手に感情の自己処理をする。
なるべく皆さんにも伝わるかな?と思いながら、まあ、普段出せない想いを表現した、解放したというのが今回実感したことだと思う。
人によっては、表現したことによるチャレンジの部分で、自分も頑張ろうと思ってくれた・影響を受けた方もいるし、人によっては、岡野耕兵の中にある言葉として表現できる綺麗なものばかりではない、まだどんな形かどんな色かもわからない感情や物語、岡野耕兵という世界観を感じた人もいるのかな?
音楽なので、どんな感想でも影響を与えることができたのなら嬉しい。
最後の挨拶で、ステージにまた立ちたいと言った。
僕には、「向日葵」という森本ケンタさんが歌い、僕にとって音楽の世界観に身も心も演技という形で飛び込むきっかけになったかけがえのない曲がある。また、星の在り処という青春時代にやったゲームソングだったり、ファルコムサウンドの音楽はまさに今の人格を形成したと言っても過言ではない。
僕の好きな世界は、儚さだったり、這い上がる、現代風にいうとレジリエンスみたいな感じ。
調子に乗っていると言われても仕方ないのだが、もっといろんなところでたくさん表現をしたい。それで、一人でも多くの人に、「助け合い、学び合い、自分のことを表現できる」人になってほしい。
そんなことを願いながら、いろんな活動ができればと思う。

この記事は、2025年9月13日に東広島で開催された「SOUND CAMPUS」での初ステージ体験をもとに書かれています。
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